利用者の皆さまに安心してお過ごしいただくためには、その土台となる職員同士の関係、なかでも上司と部下の信頼関係が欠かせません。信頼できる関係があってこそ、報告・連絡・相談がスムーズに行われ、気づいたことを率直に伝え合えるようになります。逆に、この関係が揺らぐと、小さな違和感が言い出せないまま積み重なり、ケアの質や職場の雰囲気にも影響してしまいます。今回は、上司と部下の信頼関係について、あらためて考えてみたいと思います。
信頼は「一方通行」では生まれない
信頼関係は、上司が部下を信頼するかどうかだけでなく、部下が上司をどれだけ信頼できるか、そして自分がどれだけ信頼されていると感じられるかが、互いに影響し合いながら築かれていくものだといわれています。研究では、上司から部下への信頼と、部下が「自分は信頼されている」と実感する感覚(被信頼感)が重なり合うことで、信頼関係がらせん状に深まっていくと説明されています。信頼は誰か一人の努力で成り立つものではなく、日々のやりとりの積み重ねの中で、双方が育てていくものなのです。
信頼を築くための3つの視点とは
信頼関係づくりの土台として、次の3つを意識したいと思います。
- 礼儀を大切にすること:どれほど経験や能力があっても、挨拶や言葉遣いなど基本的な礼儀を欠いてしまうと、信頼は築けません。忙しい業務の中でも、お互いを尊重する態度を忘れないことが出発点になります。
- 期待をすり合わせること:「言わなくても分かるはず」という思い込みが、すれ違いの原因になります。業務の目的や優先順位を言葉にして共有し、小さな成功体験を一緒に積み重ねていくことが、信頼の実感につながります。
- 日々の対話と傾聴を大切にすること:定期的な面談や日々の声かけを通じて、部下が困りごとを気軽に相談できる雰囲気をつくることが重要です。忙しさを理由に対話を後回しにせず、相手の話にしっかり耳を傾ける姿勢を持ちたいものです。
安心して働ける職場であるために必要なこと
福祉・介護の現場では、職員同士の人間関係が働きやすさに直結するといわれています。ハラスメントを許さない姿勢を明確に示し、職員一人ひとりの意見を尊重しながら必要な支援を行うリーダーの存在は、職員が安心して業務に集中できる土台になります。上司と部下、双方が「相談してよかった」「話を聞いてもらえた」と感じられる積み重ねが、結果として職場全体の安定にもつながっていきます。
恵光会は、利用者の皆さまへの質の高いケアを支えるのは、私たち職員一人ひとりの働きやすさだと考えています。上司と部下という立場の違いはあっても、互いを尊重し、率直に対話できる関係を、日々の業務の中で少しずつ育てていきたいと思います。
